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京都発大龍堂通信:メールマガジン通巻15446号 2020年2月6日
『グローバル資本主義VSアメリカ人』
『グローバル資本主義VSアメリカ人』

著:篠原匡
発行:日経BP社
定価:(本体1,600円+税)四六・320p
978-4-296-10548-9
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中国が世界貿易機関(WTO)に加盟した2001年以来、その安価な労働力と巨大な市場を活用してきた米国。だが、中国が大国への野心を隠さなくなった今、制裁関税など様々な手段で中国を押さえつけようとしている。
第二次大戦後、共産主義の拡大を抑えるため、欧州を支援し、二人三脚で戦後の枠組みを構築してきた。それは自由貿易の拡大という形で米国に繁栄をもたらしたが、ここに来て、米国は欧州と国際機関に背を向けつつある。
それは、他の友好国との関係でも同様だ。北米自由貿易協定(NAFTA)は米国、カナダ、メキシコのそれぞれに利益をもたらしたが、自国に有利な協定に書き換えた。北大西洋条約機構(NATO)や韓国など、同盟国に対する応分の負担も強く求めている。
他国間の交渉からより米国の影響力を発揮しやすい二国間の交渉に、国際協調主義から単独主義に、グローバル政治経済の審判役からプレーヤーに−−。近年、アメリカは急速に変化している。この変化を推し進めているのはトランプ政権である。だが、トランプ政権の誕生を含め、米国をそういう方向に向けているのは一人ひとりのアメリカ人である。本書は、米国が直面している11の社会課題を軸に、市井の人々の生き様を通して今のアメリカを描き出した作品だ。
日本に伝わる米国の情報は現地メディアが報じたものばかり。それも、リベラルに偏っていることが少なくない。だが、本書は記者が現地に飛び、地元の人々とのコミュニケーションを通して、日本からは見えないアメリカの現実を浮き彫りにしている。例えば、オピオイド汚染に苦しむウエストバージニア州では、全校生徒の3分の1が祖父母や里親と暮らしているという小学校を訪ねた。その原因は、鎮痛剤などドラッグの依存症よる親の育児放棄が原因である。
アリゾナの国境では不法移民を取り締まる自警団の活動に同行、メディアでは報じられない国境の現実を活写した。メキシコ・ティフアナでは米国を追放された外国籍兵士や不法移民の密入国を幇助する若者に話を聞いている。
国家や企業が発する情報は一面の真実だが、日々を生きる無名の人々の人生もまた真実である。ミクロを通してマクロを語る。そんなジャーナリズムの王道とも言える手法でトランプのアメリカを描いた作品だ。なお、それぞれの章には同時並行で制作したドキュメンタリー映像のQRコードを載せており、ルポルタージュとドキュメンタリーの双方を見ることも可能。知られざる米国をぜひ覗いてほしい。
[目次]
1章:国境vs自警団
 ドラッグの運び屋を捕捉せよ!
2章:国境vsスマグラー
 ティフアナ・アンダーグラウンド
3章:国境vs国境の住民
 分断に立ち向かうツインシティ
4章:銃規制vs銃所有者
 銃規制反対派のロジック
5章:銃規制vs射撃女子
 私が6歳の娘に銃を教えた理由
6章:ドラッグvsプアホワイト
 オピオイド汚染に沈む街
7章:教育vsハーレム
 教育改革にあらがう小学校
8章:米軍vs外国籍兵士
 アメリカ人になれなかった男たち
9章:関税vsグローバル製造業
 アメリカの雇用を奪うシェルター
10章:アメリカンドリームvs若者
 夢ゾンビたちの宴
11章:再生可能エネルギーvs過疎地
 石油の国の風力発電
12章:宗教vsメガチャーチ
 イベントと化す祈りの場
13章:貧困vs先住民
 暗闇を惑うインディアン居留地
14章:テック企業vsホームレス
 シリコンバレーの貧困街



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