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京都発大龍堂通信:メールマガジン通巻13184号 2017年9月26日
PDF『すみたい東京』
『すみたい東京』

著:伊藤滋
(都市計画家・東大名誉教授・早大特命教授、1931年生)
発行:近代建築社
定価:(本体3,000円+税)224p・A5
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「はじめに」から
『なぜいま「すみたい東京」なのか』
 日本が敗戦を迎えた昭和20年、私は14歳の中学2年生だった。以来70年を超えて、私は東京の街を見続けてきたことになる。
 その私が当時、こんな姿になれば良いと想像した以上に、東京の街は素晴らしい姿に生まれ変わった。車やテレビなどの耐久消費財も各家庭に急速に普及し、私たちの日常生活は便利で快適で豊かになった。ところが、70年経っても良くならないもの、それは「東京の住宅」である。いまの80u前後の3LDKのマンションからは「客間」が失われた。戦前の中流住宅に比べ機能的にひと部屋足りなくなった。同様に戸建ての建売り住宅からは座敷を取り囲む「廊下」と「縁側」そして「納戸」が失われた。1964年の東京オリンピック以降の半世紀、急激な住宅地価の高騰によって、東京の住宅から敷地の大きさが失われた。庭や玄関など、戦前の中産階級の住宅に見られた懐の深い暮らしの空間がはじめになぜいま「すみたい東京」なのか消えてしまった。21世紀に入ったいま解くべき東京の住宅の課題は、戦後70年の時代がつくりだした狭さ≠ゥらの解放である。これからは、東京の住宅の質について根本的に見直すべきではないか。私はその絶好の機会が21 世紀にやってきたと考えている。
 その理由は、東京の人口が頭打ちになることにある。20世紀の日本、人口が増え続けてきた日本では、中央政府はその人口増加を前提として景気拡大に専念してきた。その流れを円滑にするために、都市計画や建築に関わる諸制度は、都市が成熟していた欧米諸国に比べて規制も運用も緩やかであった。
 都市計画法の準工業地域の指定や、建築基準法の建築確認の手続きはその典型であった。その結果、戦後の我が国の都市空間は無秩序で乱雑な姿になってしまった。しかし、21世紀になって我が国の社会的な状況は変わってきた。人口は減少に転じ、老齢化が進み、市街地では、空き家、空き室が増え、商店街のシャッター街化が進行しつつある。21世紀の都市空間は、もはや建築物や都市施設の量的拡大の場ではない。それらの量的縮減と質的向上が求められている。
 その新しい目標を達成するためには、市民の不動産価値を重視した都市計画制度の運用に、公共的な視点をより積極的に持ち込むべきであると私は考える。市民の過剰な権利要求をそのまま受け入れていれば、日本の都市空間の質はいつまで経っても良くならない。それが50年都市計画に携わってきた私の持論である。
 もちろん、新しい公の民に対する介入によって民地の資産価値が減少する事態はさけるべきである。しかし、民地の使い方については公の方針に沿う≠ニいう都市計画本来の立場を民間も理解し、公に協力する時代が21 世紀であると思う。そうでなければ、市街地景観や都市防災、そしてCO2削減といった都市環境改善の諸課題は解決されない。
 これから13年後の2030年頃を境に、東京23区の生産年齢人口は減少に転ずる(*注)。その結果、住宅取得の需要が頭打ちになる。そして、地価水準も弱含みになるであろう。あるいは減少に転ずるかもしれない。
 結果として、東京を支えている生産年齢人口の人たちが、いまより少しでも住空間を大きくして、ゆとりのある住生活が得られるような時期が近づいている。
 東京の住宅と街並みの質を向上させる大きな転換期が、2020年東京オリンピック以降にやってくると思う。
 そうしたそう遠くない未来を見据えながら、第1章では東京の人口と居住に関する現状と将来について検討し、第2章で23区の都心区・中間区・外周区の地域ごとに「東京の居住空間の将来像」を示した。また、第3章では「すみたい東京」を実現する8つの具体的方策を盛り込んだ提案と、東京の居住生活を豊かにする「生活空間倍増計画」を提示し、さらに第4章では23区の地域ごとに、より具体的な街づくりの手法について提案を行った。
 本書をきっかけにして、たくさんの人たちが東京の居住空間に関心を寄せ「すみたい東京」をテーマに様々な論議が活発になることを期待している。 平成29年8月 著者
*注:一般社団法人森記念財団が発売した「東京23区における人口と世帯に関する2015年から2040年までの予測」(平成27年11月)
はじめに
1.テーマ:東京が世界の都市間競争を勝ち抜くために居住空間と居住環境をいかによくするべきか。
2.目 的:実現可能な少子・高齢者対策を提案し実際の政策に活かす
3.特 徴:居住空間の質的向上を阻害している建築基準法や都市計画法上の既存規定に対し、
      「民間の立場から」具体的な改正方法を提案していること。
      「居住空間の質を高める8つの提案」(第3章)
      @最低限敷地と建ぺい率
      Aローカルな「容積移転」と「地区計画」
      B「用途地域」の再編成
      C新防火地域基準の木造建物の普及と防火地域の拡大 ほか
      最低限敷地と建蔽率、容積移転と地区計画、用途地域の再編、他
      「生活空間倍増計画」(5つの提案)(第3章)
      @天井高を2m70cmに
      A前面道路を5mに
      B最低限敷地を設定する ほか
本書の背景:
1.本書は伊藤滋氏が座長を務める「2040年+東京都心市街地像研究会」(加盟15社)における2年にわたる研究・議論の成果をまとめたものである。
2.「2040年+東京都心市街地像研究会」での研究・議論の成果は、東京の国際競争力の強化を目的に、東京都心の主にオフィスビルや商業施設を中心とした様々な提案を行い『たたかう東京』(2014年3月)として書籍にまとめられている。[田口昭]
[目次]
第1章「東京の居住空間をもっと大きくしよう」《問題提起》
第2章「東京の居住区間の将来像」《現況分析と将来予測》
第3章「すみたい東京に向けた8つの提案」《法規等改正の提案》
第4章「ゆとりのある住宅地が東京のまちを育む」《具体的提案》
   (*第4章は大和ハウス工業東京都市開発部が担当)



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