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京都発大龍堂通信:メールマガジン通巻12726号 2017年2月1日
『危機と都市』 -Along the water Urban natural crises between Italy and Japan-
『危機と都市』
-Along the water
Urban natural crises between Italy and Japan-


編著:伊藤毅、フェデリコ・スカローニ、松田法子
著者:橋康夫、高村雅彦、柳澤和明、E・マラーラ、
C・リッパ、F・サルヴェストリーニ、
   P・カゼッタ、M・ベルフィオーレ
発行:左右社
定価:(本体3,700円+税)B5ヨコ・224p
978-4-86528-158-3
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河川の氾濫、豪雨、火山、地震、そして津波。都市の歴史は災害の克服の歴史だった。
都市の危機を巡る日伊の比較研究から都市史のあらたな地平を描く。
東京大学建築学科伊藤毅研究室発、第一人者の手による注目の国際論集!
「序」より
本書は日本とイタリアにおける災害の歴史を比較都市史的観点から捉えることを目的として編まれた。日本とイタリアは地震国であり、過去さまざまな災害を被りながらも、現在まで豊かな都市文化を築いてきたという点で類似性が認められる一方で、石と木に象徴されるように都市生活が営まれる物的環境やその継承性には大きな隔たりがあった。また日本は数多くの島嶼からなる国であって人々の生活は水とともにあった。これはイタリアもよく似ている。アドリア海に浮かぶ潟を拠点とするヴェネツィア、またヴェネツィアが次第に支配領域を広げた陸地側(テッラ・フェルマ)を含むヴェネト地方は不安定な低地を巡る河川や水路、運河などによる多様な水系のネットワークを築いた。そのネットワークの形成と角遂の変遷こそがウ?ェネトの領域史とさえ言いうるほど、水の支配は重要であった。
一方、日本ではあまり進まなかった山岳地帯への居住は、むしろイタリアでは古くから積極的に展開し、トスカーナ地方に点在する歴史的な中世都市はまさにイタリアの都市の典型を示している。しかしこうした山岳都市は地震の恐怖とともに生きてきたという側面があり、2016年8月24日イタリア中部のアマトリーチェなどの美しい町々を襲ったイタリア中部地震は石造建物の崩壊とともに300人に及ぶ死者を出す近年稀にみる大災害となった。地震後の瓦礫の山の光景は凄絶であり、依然木造の多い日本とは異なる惨状を示していた。
本書はこうした自然災害を、従来のように外から人間居住を襲う不確定な災害とみるだけでなく、むしろ人間が自然とともに居住を構築していううえで不可分な要素として捉え直すことを試みている。
(伊藤毅「序」より)
[目次(すべて日英併記)]
序 伊藤毅
第1部 時間―危機の都市史
  危機と都市 伊藤毅
  01 ローマの都市構造 都市発展要因としての洪水/クリスティアーノ・リッパ
  02 平安京・京都と危機/橋康夫
  03 ミラノと水 古代都市システムの危機/エンピオ・マラーラ
第2部 領域―危機と居住
  04 貞観地震・津波に学ぶ 陸奥国はいかに復興を遂げたか/柳澤和明
  05 都市社会と自然災害 中世および近代初期のトスカーナにおける河川氾濫/
     フランチェスコ・サルヴェストリーニ
  06 氾濫原・湿地・砂洲上の集落 16~19世紀新潟の蒲原平野を中心に/松田法子
第3部 文化―共存と再生
  07 ナポリ、永遠に再生しつづける都市/マッテオ・ベルフィオーレ
  08 11世紀から19世紀における北イタリア平野の河川システムと都市・農村の生活/
     フェデリコ・スカローニ
  09 誕生から19世紀までのパドウ?ァ水系における危機/ピエトロ・カゼッタ
  10 アジアの水都 災害と信仰・身体性・統治/村雅彦
結語 伊藤毅
編集を終えて 伊藤毅、フェデリコ・スカローニ、松田法子
編著者、翻訳者略歴
[編者、著者略歴]
・伊藤毅
1952年生まれ。東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授。都市建築史。主著に伊藤毅『町屋と町並み』(山川出版社、2007年)、同『都市の空間史』(吉川弘文館、2003年)、同『近世大坂成立史論』(生活史研究所、1987年)。吉田伸之と共編著『伝統都市 全4巻』(東京大学出版会、2010年)。

・フェデリコ・スカローニ
1965年生まれ。建築家(FedericoScaroniArchitecturalOffice、日建設計)、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻客員研究員。建築設計理論。主著にフェデリコ・スカローニ「建築におけるオーバー・スケールという概念について―西洋と東洋的観点の比較」(『年報都市史研究』20号、山川出版社、2013年)、同「都市リノベーションとしての近代遺産の再利用―日本を研究事例として」(boitimeafrojdit、2013年)、同「解体されたファシズム建築の歴史―リヴォルノのコスタンツォ・チャーノ霊廟」(Quadernidell’IstitutodiStoriadell’Architet-tura、vol.42、2005年)。

・松田法子
1978年生まれ。京都府立大学大学院生命環境科学研究科専任講師。建築史・都市史。主著に松田法子『絵はがきの別府』(左右社、2012年)、松田法子「温泉場の私娼とその空間」(佐賀朝・吉田伸之編『シリーズ遊廓社会2 近世から近代へ』、吉川弘文館、2014年)、編著に「都市史から領域史へ」(『建築雑誌』vol.130、No.1671、日本建築学会、2015年)。

・橋康夫
1946年生まれ。花園大学文学部教授、京都大学名誉教授。日本都市・建築史。

・高村雅彦
1964年生まれ。法政大学デザイン工学部建築学科教授。アジア都市史・建築史。

・柳澤和明
1956年生まれ。東北歴史博物館学芸部上席主任研究員。歴史考古学。

・エンピオ・マラーラ
1932年生まれ。ミラノ工科大学名誉教授、ミラノ舟運友好協会会長。建築・都市計画、建築史、水工学。

・クリスティアーノ・リッパ
1976年生まれ。建築家(NearArchitectureDesignOffice)。建築設計理論。

・フランチェスコ・サルヴェストリーニ
1965年生まれ。フィレンツェ大学歴史・考古・地理・芸術・パフォーミングアート学部中世史・
中世教会史研究所准教授。イタリア中世史。

・ピエトロ・カゼッタ
1959年生まれ。ジャーナリスト、文化観光協会「パドウ?ァ・オリジナーレ」会長。地理学、地域史、水工学。

・マッテオ・ベルフィオーレ
1979年生まれ。建築家(RichardBliahAssociates)、イタリア国立建築研究所。建築意匠。



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