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京都発大龍堂通信:メールマガジン通巻12620号 2016年12月16日
『建築の前夜 前川國男論』
『建築の前夜 前川國男論』

著:松隈洋
発行:みすず書房
定価:(本体5,400円+税)A5・496p
978-4-622-08546-1
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「東京に戻って、すでに一ヵ月半が経ちました。そして現在、私は、私がいない間の日本で、何が起って何が起ろうとしているのかを理解しようとし始めています。見るもの聞くものすべてが恐ろしいほど嫌気がさします。今日では、もし私たちが真剣に、取り巻くすべての現実の条件と状況を見つめるなら、私たちには、二つの選択肢しか残されていません――ニヒリズムになるか、左翼になるか」(前川國男、ル・コルビュジエ宛書簡)ル・コルビュジエのもとで学び、帰国後レーモンド事務所を経て独立した建築家・前川國男(1905-1986)の前半生、敗戦までの軌跡。「日本趣味を基調」という募集規定にあえて逆らった案により一躍モダニズム運動の旗手として脚光を浴びた東京帝室博物館(現・東京国立博物館)コンペ、代々木か明治神宮外苑か駒沢か――IOC総会で開催決定後も主競技場の敷地が二転三転するなか岸田日出刀のもとで練りあげた幻の「第12回オリンピック東京大会」会場計画、当初の前川案から紆余曲折を経て坂倉準三の手に委ねられ、建築部門グランプリを受賞したパリ万博日本館、前川が審査員に加わり丹下健三が一等当選を果たした日米開戦後の大東亜建設記念営造計画、そして戦時下最後のコンペとなった在盤谷日本文化会館ほか日本近代建築史上重要な設計競技やプロジェクトの実相を水面下の動きとともに浮かびあがらせ戦時下の体制への建築家の関与や抵抗をも検証した決定版資料である。収録図版約200点。
[目次]
序章
I ル・コルビュジエと出会う
父の背中と大正デモクラシー
東京帝国大学建築学科
卒業論文にみる初心
セーヴル街のアトリエで
「遠く巴里からも」
II レーモンド事務所の時代
東京帝室博物館コンペ前史
「負ければ賊軍」
木村産業研究所
コンペ連続挑戦のなかで
所員としての仕事
III 独立後の挑戦
森永キャンデーストアー銀座売店
二転三転、パリ万博日本館
オリンピック東京大会会場計画
幻のオリンピック東京大会が遺したもの
建築事務所の経営事情
IV 日中戦争下の模索
幻の日本万博会場施設
一等当選、大連市公会堂コンペ
「パンドラの箱」忠霊塔コンペ
「日満一体」の名のもとに
上海の集合住宅を手がける
V ナチス・ドイツの影
報道技術研究会
四軒の木造住宅
「ナチス叢書」のころ
VI 太平洋戦争と建築学会
「大陸」「南方」「大東亜」
大東亜建築委員会
南方建築指針による建築様式論
大東亜建設記念営造計画コンペ
佐野利器と前川國男
VII 思索と日々
綴られた「日誌」から
建築家の本棚
論考「建築の前夜」と「覚え書」
VIII 自邸とバケツと
自邸での試みと発見
東京市忠霊塔コンペ
在盤谷日本文化会館コンペ
太平洋戦争下の仕事について
結びにかえて

あとがき
人名索引
[著者プロフィール]
1957年兵庫県生まれ。1980年、京都大学工学部建築学科卒業後、前川國男建築設計事務所に入所。
2000年、京都工芸繊維大学助教授、2008年、同教授。博士(工学)。
DOCOMOMO Japan代表、文化庁国立近現代建築資料館運営委員。著書『ルイス・カーン―構築への意志』(丸善1997)『近代建築を記憶する』(建築資料研究社2005)『坂倉準三とはだれか』(王国社2011)『残すべき建築―モダニズム建築は何を求めたのか』(誠文堂新光社2013)『モダニズム建築紀行―日本の戦前期・戦後1940〜50年代の建築』(六耀社2016)『ル・コルビュジエから遠く離れて―日本の20世紀建築遺産』(みすず書房2016)、編著『前川國男 現代との対話』(六耀社2006)、共著『原発と建築家』(学芸出版社2012)『建築家 大高正人の仕事』(エクスナレッジムック2014)『建築から都市を、都市から建築を考える』(岩波書店2015)ほか。



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