HP内の目次へ・検索もできます! 『井田照一の版画』

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京都発大龍堂通信:メールマガジン通巻9225号 2012年5月15日

内容詳細・フライヤー『井田照一の版画』

日時:2012年5月22日(火)〜6月24日(日)
 9:30─17:00(入館16:30)

※金曜日の夜間開館日:9:30─20:00(入館19:30)
休館日:毎週月曜日

場所:京都国立近代美術館
〒6068344 京都市左京区岡崎円勝寺町
 TEL:075-761-4111

観覧料:
一般850円(600円) 大学生450円(250円)
 高校生以下無料 団体(20名以上)
※本料金でコレクション展もご覧いただけます。
※障害者手帳をお持ちの方と付添者(1名)は無料。
 (入館の際に証明できるものをご提示ください)

主催:京都国立近代美術館、京都新聞社
■井田照一 《Conception》1974年
京都国立近代美術館蔵 京都に制作拠点を置き続けながら、国内外の膨大な数の展覧会やプロジェクトに驚異的密度で取り組み続けてきた井田照一(1941-2006)が世を去ってはや6年になります。京都国立近代美術館は2011年の秋、井田照一のご遺族から版画作品約300点の寄贈を受けました。本展はこの寄贈作品を紹介することを第一の目的としています。
作家活動の全期間を通して優れた版画作品を数多く制作した井田照一は、昭和40年代の日本の現代版画の展開と深化、国際的同時代性を獲得していく過程を語る上で欠くことのできない重要な【現代版画家】の一人です。さらに井田は昭和50年以降の30年間、版画制作だけではなく、油彩、陶、ブロンズ、紙パルプなどの様々な素材を自在に用いる重層的で、ある意味で哲学的な作品に挑み続けた【美術家】でした。振り返れば井田照一の作品は、当時の美術批評の現場との作品を通した対話であったようにさえ思えます。このことは、井田照一の作品業績を版画という枠組みだけで語ることが不可能であることを意味しています。しかし当館はご遺族と相談を重ねた上、あえて版画作品だけの収蔵を決断しました。それは、井田版画の昭和50年頃の変化、それ以降の版画との乖離が、「日本の【現代版画】に何が起こり、何が起こらなかったか」という未検証の問題を考える上で重要な示唆に満ちていると確信したからです。本展は井田照一の版画作品を通じて、昭和40年以降の日本の現代版画について考察することを第二の目的としています。
■井田照一《Surface is the Between- Between Vertical and Horizon - "Paper Between a Snowed Stone and Road"》1981年
京都国立近代美術館蔵井田照一は京都市立美術大学西洋画科の在学中に独習で石版画の技法を習得、当時の美術動向に反発するかのような、非身体的でクールで知的な版画表現を発表しました。彼の版画はすぐさま関係者の注目を集め、東京国際版画ビエンナーレ(1968・70年)に連続して招待出品されます。しかし1969-70年の間にフランスとニューヨークに滞在した後の井田は、日本の現代版画の熱狂とは距離を保ち、版画の限界を自己検証するかのような実験的な作品を多数試みています。80年代に一般化するインスタレーションを先取りするかのような《Conception》(1974)、2枚の版だけで46点の異なるイメージを刷った《The SpySurrounds the Spy》(1974)などは、常套的な【版画】の彼方にある概念モデルであり、1980年代以降に写真や映像表現で提起される「表象/再現」の問題として解読されるべき内容を含んでいます。これらの作品はまた、「版画とは何か?」という当時の日本の現代版画が執着した問いへの、井田の解答であり決別であったような気がします。
本展では日本の現代版画の隆盛と併走した初期作品、昭和50年前後から一貫して続く代表作《Surface is the Between》のシリーズ、命を削りながら制作したクラウンポイント・プレスでのエッチングの大作など約160点の版画作品により、美術家・井田照一の版画による業績と彼が保ち続けた時代との【間合い】、その行方を明らかにします。
[関連イベント]
講演会:

演題:「井田照一を語る」
講師:乾由明氏(美術評論家)
日時:2012年6月2日(土)14:00─15:30
場所:京都国立近代美術館1階講堂
定員:100名(聴講無料、当日11:00から受付にて整理券を配布します)



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