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京都発大龍堂通信:メールマガジン通巻11533号 2017年1月20日

『刑務所の医療と福祉』
-塀の中の医務室で考えたこと-


著:波多野和夫
発行:ナカニシヤ出版
定価:(本体2,000円+税)275p・19p
978-4-7795-0947-6
[著者プロフィール波多野 和夫 (ハダノ カズオ)]
精神科医。医学博士。精神保健指定医。病院・研究所・刑務所医務室などの勤務を経て、社会福祉系大学院教授。
刑務所の医務室で数年間、精神科を中心とする医療の仕事をした。自分にとって刑務所ははじめての経験であり、知らぬこと、不思議なこと、驚くことが多々あった。被収容者、つまり受刑者はいわゆる犯罪者である。しかしだからといって、ほとんどの人からは根からの極悪人という印象を受けなかった。
刃物と銃弾の飛び交う中で大立ち回りを演じたという、全身傷だらけの男もいないわけではなかったが、極めて稀であった。むしろ、喰えなくなって喰いものを盗んだとか、大丈夫だろうと高をくくって飲酒運転をして人をはねてしまったとか、魔がさして女を買ったがまさか女子高生とは思わなかったとか、種々の欲望に忠実であり過ぎた男たちが、ひしめくほど大勢いた。そしてそういう人たちの知能指数が決して高くはないということも容易に理解できた。この社会のさまざまな課題を解決する能力、つまり社会に適応して生きていくための知能に恵まれぬ人々が、犯罪という形で挫折して収容されているのが刑務所なのである。
そんな彼らが、刑務所という環境の中で、精神的に追いつめられていった姿をたくさん見た。刑事施設での精神科医療の重要さと困難さを否応なしに実感させられた。また受刑者諸君が、刑務所出所=社会復帰を前にして不安におののいている姿を見ることも多かった。実際に出所したら、わずか数週間のうちにまた何か触法行為をして、刑務所に戻ってくる人たちも少なくなかった。こういうことの全てが、何か人間の存在の根幹に触れるような、切実でのっぴきならぬ本質を示唆するものごとのように思えた。
こういう経験をまとめたのが本書である。執筆のきっかけはいくつかの講演依頼である。特に、特別支援学級や自閉症の教育に携わる先生がたから、自分の教えた子たちが、何年か経ったら刑務所に入っていて驚いたという話を聞いた。どうしてそうなったのか、これからどうしたらいいのか、そういう言葉にはかなり切実な響きがあった。
ざっと以上のような事情である。ボクの見聞したことを聞いてくれないかといって話を始めたい。
[目次]
はじめに
刑務所へ行った
   刑務所の医者になった
   最初にひとわたりの展望を
刑務所について勉強した
   刑務所というところ
   刑務所はすし詰め状態
   Z刑務所について
   刑務官という人たち
日本型行刑というもの
   行刑改革と受刑者の人権
医務室で奮闘した
   刑務所の医療
   隔離と拘束
   刑務所の食事
   感染症の問題
   刑務所の中の病死
   執行停止について
   陰茎玉入問題
精神科の医療をした
   刑務所の精神医療
   パラノイアと人格障害
   自由と不自由
   覚醒剤後遺症
   二六条通報をめぐる問題
医療と福祉について考えた
   刑務所の知的障害者
   塀の中の性
   刑務所の老人たち
   刑務所の福祉
   出所時保護の問題
おわりに



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