HP内の目次へ・検索もできます! 『Grown』

7019号      7023号


京都発大龍堂:メールマガジン通巻7022号 2010年4月1日


『Grown』

編著:宮本佳明
発行:フリックスタジオ
定価:800円(本体762円+税5%)
115×115・48p(オールカラー)
英語のみ
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この書籍は、建築家・宮本佳明氏の作品小集「Grown」を、掲載しています。
115mm角の小さなブックレットに、同氏の代表作「ゼンカイハウス/1997」「苦楽園/2001」「SHIP/2006」「クロバーハウス/2006」「ハンカイハウス/2007」に加え、最新作「澄心寺庫裏/2009」を加えた6作品を収録。英語表記のみで紹介しています。
[はじめに]
「土建空間・Do-Ken marriage」という言葉をよく使う。それは土木と建築を横断して都市空間を捉える概念である。対象を人工物に限定する点において、いわゆる「環境」という概念とは異なる。実際には都市空間のほとんどが土木と建築でつくられているにも関わらず、少なくとも日本では法律・生産・管理いずれの面からも、両者の間には大きな断絶がある。日常生活において、私たちの生活の基盤を支えているインフラストラクチュアが意識されることはまずないが、結果的に土木と建築の断絶は都市の風景に大きな影響を与えてきた。
そもそも古代ローマには建築と土木の明確な境界はなかった。ヴィラ・アドリアーナやトラヤヌスのマーケットを見ればすぐに分かることだ。技術としては同じローマン・コンクリートを材料として用いアーチやボールトといった構造を駆使して巨大構築物を次々に建造した古代ローマだが、内部空間の必要性という一点を除けば土木と建築は同じ地平に立っていた。
私自身は建築を設計する際に、土木と建築の境界線について意識することが多い。なぜなら、いま両者の境界がゆらいでいるように見えるからだ。インフラ=土木、インフィル=建築という棲み分け自体は間違っていないが、原理的にその境界線の設定は自由なはずである。にもかかわらず例えば斜面に建築を建てる場合、当たり前には土木で擁壁をつくって雛壇造成し、その後に完成したフラットな敷地の上に建築を建てる。日本ではごく一般的な建築のつくられ方である。生えるように建築をつくる、ということをずっと考えている。私が活動の拠点を置く関西地方は古墳(fig)が多い地域である。それらは3世紀後半から7世紀前半に築造されたものであるが、現在私たちが目にする古墳は深い森に覆われていることが多い。しかし往古の本来の姿は、表面が玉石で葺かれ幾何学的でシャープなものだったと言われる。そんな現代の古墳を見て思った。墳丘が墳丘として意識されなくなった時、そこ(敷地)に木が生えるのか、あるいは建築が生えるのか。古墳には建築が生えなかったから、その代わりに木が生えたのだ。繰り返すが、本来インフラとインフィルの境界線は任意に設定が可能なはずである。
その任意性すなわち土木と建築の境界のゆらぎこそが「生えるように」ということの本質ではないだろうかと睨んでいる。土木を建築の側に引き寄せてそれらを包括的に考える時に、私たちの生活や文化を表象したより豊かな空間が立ち現れるのではないかとの期待を持っている。[宮本佳明]
[English]
title: Grown

Author: Katsuhiro Miyamoto
Edited by Katsuhiro Miyamoto & Associates
Publisher: flick studio co., ltd.
Cover and Book Designer: Michiyo Kawamoto

price: \800
size: 115mm x 115mm, 48pages
language: English only
date of issue: 1st March, 2010

[Contents]
Foreword p.4
Works
 Chushin-ji Temple Priest's Quarters p.8
 "HANKAI" HOUSE p.14
 CLOVER HOUSE p.20
 SHIP p.26
 KURAKUEN p.32
 "ZENKAI" HOUSE p.38
Profile p.44
[宮本佳明プロフィール]
 1961年 兵庫県生まれ
 1984年 東京大学工学部建築学科卒業
 1987年 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修士課程修了
 1988年 アトリエ第5建築界設立
 1995年 大阪芸術大学建築学科専任講師
 2002年 設計組織を宮本佳明建築設計事務所に改組
 現在、大阪市立大学大学院教授。東京理科大学、大阪大学非常勤講師
[主な著作]
 『「ゼンカイ」ハウスがうまれたとき』(王国社/2006)
 『ケンチク模型。宮本流』(彰国社/2007)
 『環境ノイズを読み、風景をつくる。J(彰国社/2007)



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