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『茶室集成』
著:中村昌生
発行:淡交社
定価:21,000円(本体20,000円+税5%)
B5上製ケース入・618p
978-4-473-03379-6
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■「茶室の表現をつなぐ原理」を知るために─中村昌生
「茶室の写真集を見ていると、どれも同じ様に見えてしまう」という話をよく耳にします。確かに草庵風な小間の茶室は何れもよく似ていて、特に変わったところが目につかないかも知れません。しかし茶室には書院風のもの、例えば忘筌のように草庵風とはかけ離れた表現の作品もあります。草庵風の特色だけでは茶室の全体像を説明することはできないのです。多様な茶室の表現をつなぐ原理、それを知ってはじめて茶室の理解に到達できるのです。同じように見える草庵の茶室の間にも、姿の組み立て方、寸法や材料の選択、室内の明るさや雰囲気など、よく見つめると必ず相異があるものです。作者の創意や美意識、個性、茶の湯に対する考え方などが作品には秘められています。つくる人のそのような違いが茶室にあらわれるのです。わずかな相異が、作者の大切な意図を語り出しているかも知れません。特に茶室の寸法には思想がこめられています。(「はじめに」より) |
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[本書の特色]
日本建築の精粋をここに!
各地で名席として知られる茶室、釣120席余を「草庵以前」「草庵風茶室」「武家の好み」「貴族の好み」「数寄者の好み」「茶家の茶室」の6章に分類し、外観から内部や細部までを図版で紹介し、各々に解説を施しています。茶室・数寄屋研究で知られる著者ならではの詳細な観察と研究の成果を一冊にまとめた、茶室そして日本建築の精粋を知るために必読の好著です。
1.各地の名席・120席余を収録
今も名高い名席を収録。写真や平面図から120席余の詳細を紹介、解説しています。
2.全6章分類し、最新の研究成果を追加
茶道史や茶人の好みに沿って本文を6章に分類。昭和五十二年(1977)に刊行された茶室研究の好著「茶室大観」(全3巻)の図版とデータを基にし、最新の研究成果をプラスした決定版。
3.細部に至るまでの詳細な解説
茶室研究の第一人者・中村昌生博士による解説を収録。解説内では尺寸などの寸法も明記しており、資料的価値が高い。
4.1000点を超える図版
収録した写真・平面図は併せて1000点超。恒成一訓氏ら写真家の撮影した外観、室内の各側面や部分拡大など、各席の辞細がわかる貴重な図版が満載。
5.伝統が今日を生きる為に
茶室・数寄屋の精粋を通して、日本の伝統、日本の文化を後世に伝えていくためにも、必須の一冊。 |
[掲載茶室・目次]
【第1章】草庵以前
銀閣寺東求堂、等持院清漣亭、称名寺珠光庵
【第2章】草庵風茶室
妙喜庵待庵、神勝寺茶室一来亭、高台寺時雨亭・傘亭、三井家茶室前後軒、西芳寺湘南亭、相国寺巨頁神室、西翁院澱着席、桂春院既白庵、聚光院閑隠席・枡床席
【第3章】武家の好み
有楽苑如庵、有楽苑元庵、三渓園春草慮、浄土寺露滴席・忘筌・直入軒・山雲床、龍光院密庵席、南禅寺金地院茶室、東京国立博物館六窓庵・転合庵、奈良国立博物館八森庵、建仁寺東陽坊、建仁寺久昌院茶室・両足院茶室、三渓園聴秋閣、慈光院茶室、出雲文化伝承館独楽庵、捻駕籠席、高桐院松向軒、兼六園成巽閣清香軒、兼六園夕顔亭
【第4章】貴族の好み
曼殊院茶室、水無瀬神宮灯心亭、宗偏流宗家恵観山荘茶屋、伏見稲荷大社御茶屋、真珠庵庭玉軒、金閣寺夕佳亭、仁和寺飛壽亭、青蓮院好文亭
【第5章】数寄者の好み
西行庵皆如庵、松花堂、興福院長闇堂・龍松庵、天然図畫亭、高台寺鬼瓦席・遺芳庵、仁和寺遼廓亭、太郎庵の遺構、玉林院蓑庵・霞床席、西本願寺青蓮木射・暁花亭、飛雲闇億昔席、暮雨巷の茶室、天球院蓬庵、白沙村荘の茶室、蓮華院と金毛窟、雅俗山荘、扇葉荘、広誠院の茶室、碧雲荘又織庵・花乏亭、清流亭、対龍山荘の茶室、護国寺の茶室
【第6章】茶家の茶室
表千家の茶室、裏千家の茶室、武者小路千家の茶室、官休庵東京稽古場半床庵、藪内家の茶室、久田家の茶室、堀内家の茶室、江戸干家不白堂と花月楼、松尾家の茶室、宗偏流家元大阪道場茶室、白樹庵、大日本茶道学会の道場 |
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