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『法の風景 列島の光と影』
著:斎藤幸光
発行:民事法研究会
定価:1,680円(本体1,600円+税5%)
A5・208p
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この国の法の現場を見よ―法律家・司法書士の目がこの国の姿、人々の真実、将来をとらえる!
原野商法の二次被害に遭う人たち、自ら命を絶つ人々と遺された人たちの苦悩と悲哀、不条理な扱いと闘うため法廷に立つ人たち、多重債務という落とし穴に落ちた人たち、戦争、占領を経て独立後もなお残る財産の混乱と人々の苦しみ、貿易立国日本のライフラインを担う商船にかける人たち、日本が送りだしたブラジル移民の子孫と日本、足尾銅山に今なお残る被害の現実、阪神・淡路大震災の惨状とその中での人々の心の分かち合い、そして法の風景の片隅に生きる子どもたち。著者自身がそのあり様を心に刻んだ、人々の営みと法が織りなすこの国の現場から、著者渾身のルポルタージュ! |
[本書「まえがき」より]
本書はノンフィクションであり、ドキュメントであり、ルポルタージュである。
虚構はない。……
私は司法書士であり、文中で司法書士に言及することが多い。私は本書を司法書士に読んでほしいと思っている。……しかし、それ以上に、自分の生活と法とのかかわりについて意識しなかった人々にこそ、読んでほしいと願っている。私が本書で書こうとしたのは、理屈や現象としての法ではなく、日本の社会とそこで暮らす人々が、過去・現在を通じて経験し続けている「葛藤」と法とが織り成している現実の有り様だからである。
法は、人間社会の葛藤を解決するための指針と手段を提供する。しかし、生身の人間がいだく情念まで解決することはできない。われわれが住む列島では、政治や法律、経済のように個々の人間を捨象した抽象的な社会の論理と、個別・具体的な日常の生を生きる人々の情念が、日々、絡みあい、相克している。そうした現実の相貌と、そこで懸命に生きている人々の姿とが、本書によって読者に伝われば、私にとって望外の幸せである。 |
[主要目次]
1章 釧路・原野商法を行く
2章 法廷・権利のための闘争=N氏の訴訟
3章 生命の現場・自死に向き合う
4章 人間の居場所・多重債務の実相
5章 戦争と占領・沖縄本島中部(基地編)
6章 戦争と占領・沖縄本島南部(地霊編)
7章 島国日本の交通路・日本商船隊の現在
8章 日伯移民とその子孫・SAUDADE(サウダージ)
9章 足尾旧松木村・収奪の山河
10章 神戸・震災の列島で
11章 法の風景の片隅で・子どもたちによろしく
エピローグ「街・一九三八」 |
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