|

『木造住宅の耐震設計
リカレントな建築をめざして』
著:樫原健一、河村広
発行:技報堂出版
定価:3,360円(本体3,200円+税5%)
269p21cm
978-4-7655-2501-5
  |
「木造」はリカレント性(循環・再生)の面で優れており,将来的にも豊かな可能性を秘めていますが,耐震性を考えた場合,現状は安全性が十分とは言えません。
本書では,在来軸組構法の建物を対象として,耐震安全性についての考え方,現状の問題点や解決策について述べるとともに,「仕口ダンパー」による耐震設計・補強法を具体的に提示しました。仕口ダンパー(制震ダンパー)による補強法は「限界耐力計算」や実験に裏づけられたもので,しかも施工が容易で経済的なすぐれた工法です。もちろん多くの実績もあります。本書はこれらのことを,実務者だけでなく一般の方々にも理解していただけるように,できる限り分かり易い言葉で説明してあります。「わが家」を耐震補強しませんか。 |
<目次>
序章 耐震セーフティネット
1 社会的セーフティネット
耐震制度設計
構造技術者をめぐる社会ネットワーク
ソフトのセーフティネット
2 木造住宅のセーフティネット
耐震補強特性
地震規模と応答
ハードのセーフティネット
3 構造的職能の将来像
性能規定型設計
ソフトとハードのセーフティネット
木造住宅の耐震設計
第1章 阪神大震災からの出発
1 構造設計のパラダイム
直下型地震の衝撃
Economist誌の論調
構造設計のパラダイム
構造技術の転換
2 共通語の獲得へ向けて
専門用語を共通語に
震度とマグニチュード
プレート境界型地震と内陸直下型地震
共通語をどのように獲得するか
構造技術者の人脈
構造設計という職能
3 構造設計と性能規定
建築構造の性能について
設計と規定について
「法」の意義---法体系と設計行為について
性能設計を可能にするもの
4 地震風土と耐震設計
イスタンブールの不思議な感覚
風土性とは何か
大阪万博から35年
木造住宅とAuthenticity
耐震技術と環境技術
5 次のビッグ・ワンが来る前に
阪神大震災以後の耐震化状況
既存不適格と耐震性能
伝統構法と現代構法のはざま
なぜ耐震改修が進まないか
安全・安心社会への処方箋
第2章日本の伝統的な構法
1 日本の風土と木造軸組
伝統的な構法とは何か
構造力学的な問題点の所在
伝統的な木造軸組に関する研究活動
2 伝統的な木造軸組の構造的特徴
木材の特性
「小屋組」と深い軒先
「柱」と傾斜復元力(桁・斗\UTF{6831}・礎石)
「ほぞ・貫・差鴨居」で架構を形成
「壁」で強度を増大
伝統的な木造軸組の耐震性能
第3章 木造住宅の耐震性能と構造規定
1 建築基準法と構造規定
壁量規定の成立
木造住宅に関する構造規定の変遷
限界耐力計算の規定
2 耐震設計の基本
耐震設計の方針
専門用語の整理
3 耐震性能の評価法
木造住宅の特性
地盤と地震力
耐震性能の判定基準設計クライテリア)
応答計算法
構造計算の他に必要な検討事項
第4章 木造住宅と制震ダンパー
1 木造軸組の制震補強
制震補強とはなにか
制震ダンパーの種類
木造軸組に適した制震ダンパー
2 仕口ダンパー
仕口ダンパーの原理
仕口ダンパーの製作
仕口ダンパー単体の性能確認試験
木造軸組に組み込んだ場合の性能確認実験
在来木造軸組(住宅)の実大振動実験
伝統的な木造軸組(寺院)の実大振動実験
3 仕口ダンパーを用いた木造住宅の耐震補強
仕口ダンパーによる耐震補強設計法
仕口ダンパーの施工体制
仕口ダンパーの施工要領
4 仕口ダンパーの実績と普及
開発の経緯
適用の事例
第5章 限界耐力計算を用いた木造住宅の耐震設計および耐震診断・耐震改修指針
はじめに{\nds}設計法の成立について
1 一般
1.1 適用範囲
1.2 用語と準拠する規基準・報告書・関連図書
2 限界耐力計算
2.1 限界耐力計算の概要
(1)計算の流れ
(2)計算モデルと設計荷重
2.2 木造軸組の特性
(1)伝統的な軸組構法
(2)木造軸組の変形モード
(3)軸組の履歴特性と復元力特性
(4)耐震要素の復元力特性
(5)建物の復元力特性
2.3 地盤と地震動
2.4 目標とする耐震性能
(1)対象とする地震被害
(2)地震被害の定量的評価
(3)耐震性能の判定基準
2.5 応答計算(簡易法)
2.6 設計検討事項
(1)柱脚部の扱い
(2)隣接家屋との衝突
(3)部材の検討と木材の強度
(4)通し柱(大黒柱)曲げ耐力の検討
(5)転倒の検討
(6)ねじれの検討と床の剛性
3 耐震診断
3.1 耐震診断の流れ
3.2 現地調査
(1)調査体制と項目
(2)概略図面
3.3 限界耐力計算を用いた耐震診断
4 耐震改修設計
4.1 耐震改修設計の流れ
4.2 補強方針
4.3 軸組の耐震性能を増大する補強法
(1)柱脚部を安定化する方法
(2)耐力・剛性を増大して揺れを小さく抑える方法\<(耐震補強)\<
(3)変形性能を確保しつつ応答変形を抑える方法\<(制震補強)\<
(4)柱の軸力保持機能を強化する方法
(5)仕口の分解を防ぐ方法
4.4 建物を軽量化する方法
4.5 個室を耐震化する方法
4.6 衝突に備える方法
5 チェックリストとレビュー
[付1]復元力特性データシート 耐震要素の復元力特性
[付2]応答計算シート 耐力係数--減衰定数--応答変形角関係図
終章 リカレント建築を目指して
1 循環システム
セーフティネット構法
輪廻転生
持続可能性
2 リカレント建築
神社建築
リカレント建築
ユビキタス建築
3 リカレント建築の将来像
ハイテク建築
IT技術
想像力の翼を
索 引 |
|