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『江戸東京の路地』
-身体感覚で探る場の魅力-
著:岡本哲志
発行:学芸出版社
定価:1,995円(本体1,900円+税5%)
A5変・176p
4-7615-1215-6
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歓楽街、門前町、市場、抜け道、行き止まり…。地形やかつての都市構造の痕跡を残しながら、歴史の流れの中で変遷してきた東京の路地。成長する都市の隙間の佇まいは、往時の人々の生活が甦ってくるようである。時代や成り立ちによって様々な表情を持つ路地空間を読み解き、実際に潜り込んで体感しながら、その魅力に迫る。 |
<目次>
序論─路地とは何か
境界としての隙間空間
賑わいのある空間
プライベートな場
第1章 江戸時代―路地空間の原型の誕生
1・1 江戸の都市空間と路地
(1)マクロな視点からの江戸
(2)遊びのための路地
遊廓と芝居街
寺社門前と路地
(3)生活のための路地
江戸庶民の生活の拠点としての路地
町人地をつくりだす空間の仕組み
1・2 江戸町人地の仕組みと路地─日本橋、京橋
(1)日本橋
通り土間と路地
現在の日本橋の路地─江戸の痕跡を探って
(2)京橋
井字型街区と船入堀
京橋に潜む江戸の路地
1・3 現在に生き続ける江戸の路地構造─佃、本郷菊坂、下谷・根岸
(1)佃
時代に迎合しない佃の歴史
路地をつくりだす空間の仕組み
島という特殊条件が江戸の路地空間を伝える
(2)本郷の菊坂
菊坂の町のつくられ方
谷地に潜む江戸の路地構造
江戸回帰する屋敷街のプロセス
(3)下谷・根岸
林立するマンションに見る昔の面影
街道筋に残る江戸の構造
背景に田園を持つ街道沿いの町人地
裏の農道に展開する近代の路地
第2章 明治・大正期―ネットワーク化する路地の進化
2・1 明治・大正の都市空間と路地
東京都心部の西洋化
周縁に潜むヴァナキュラー
2・2 ネットワークする路地の創造─煉瓦街の銀座
近代路地の空間マジック
路地を利用する人たち
煉瓦街のI型路地を歩く
2・3 囲い込み空間路地へ誘う神楽坂の妙─江戸の遊興の系譜を辿る近代の路地
石畳の路地がもてなす花柳界の町並み
坂道から引き込まれた空間の演出手法
路地を愛する元気な町の人たち
2・4 埋立地の路地リバイバル─月島
近代に継承された江戸の路地の味
ビルが建ち並ぶ現在の月島
2・5 坂が取り持つ路地の縁─谷中・根津・千駄木
異なる文化を一体化する
台地の道から延びる路地と坂道
凝縮された路地の多様性
町人地の路地が谷根千の一員となる
第3章 昭和初期―路地空間の多様化
3・1 昭和初期の都市空間と路地
江戸の山の手・下町の再編
ターミナル駅周辺の活況
3・2 L字型路地─銀座
宝童稲荷のある路地
角地を占める近代建築と路地の変化
3・3 囲い込み空間の路地─渋谷百軒店
江戸の遊び空間の定番を再現
勧工場を模した巨大商業空間から、盛り場への転身
3・4 築地場外市場
門前の寺町から路地を巡らす場外市場に
小割された店の間を縫う路地空間の面白さ
伸縮する路地
3・5 農道から派生する路地─京島
畦道が商店街の通りに
戦災で焼け残った街の風情と路地の趣
3・6 屋敷の中で蘇生した路地─麻布
丘と谷がつくる軸性と迷路性
パッケージ化された組屋敷に見る路地
門をくぐると路地
隙間の路地に入り込み、谷間に潜む街へ
第4章 戦後―組み合わせ路地の迷宮化
4・1 戦後の都市空間と路地
火の海からの出発した闇市の合理性
郊外地に張り巡らされたラビリンス空間
4・2 小路化する路地─生活路地から賑わい路地へ
進化する銀座の路地
土地が分割されてできた路地
T路地の誕生
4・3 路地に変化した農道─下北沢
地形に鉄道という近代のレイヤーを重ねる
農道がベースとなる街の構造
街がすべて路地であることの将来性
4・4 阿佐ヶ谷・パールセンター
農道と都市計画道路
路地化する商店街と住宅地に派生する路地
成長する商店街とマンション立地
第5章 高度成長期以降―回遊を楽しむ路地の創造
5・1 高度成長期から現在に至る都市空間と路地
裏原宿のパッチワークな路地から
街の必要性から空間の道具へ─デパートの地下街から六本木ヒルズへ
5・2 通りをつなぐ路地─渋谷・スペイン坂
路地化する坂の持ち味
異質な空間を回遊する路地
5・3 回遊を高める路地の発想─代官山
時間がつくりだす建築と路地の有機性─内部空間から外部空間へ
場の記憶に同化する建築と路地
5・4 銀座にあるビルの中の路地
戦い、勝ち取った路地
現在の銀座の路地を徘徊する
結 路地論からまちづくりへ
路地が主役となる時代の街の魅力
路地は完了形の空間ではない
銀座の路地に眼差しが向けられたムーブメント |
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