シンポジウム_京都三山と緑地:東山・銀閣寺前町《半鐘山》の開発をめぐって_


京都発大龍堂:メール マガジン通巻 488号


シンポジウム 京都
「京都三山と緑地:東山・銀閣寺前町《半鐘山》の開発をめぐって」

「風致地区山林の行方:京都の都市計画史から見た」
日時:2001年9月9日(日)13:30-16:30
場所:京都会館会議場
京都市左京区岡崎最勝寺町13
連絡先:「半鐘山と北白川を守る会」 075-761-8500(岡村
 

「京都の景観の未来:景観史・景観論の立場から」
シンポジウム 東京
『京都の都市景観の再生:21世紀の都市景観形成ビジョンを探る』
主催:日本建築学会「京都の都市景観特別研究委員会」
日時:2001年9月24日(月)9:00-
場所:東京大学工学部8号館83室

★問題の山林の所在:
左京区銀閣寺前町38-2, 41-1,
北白川下池田町78、78-4、白川沿国有地(未登記)
景観の様子:銀閣寺から見た半鐘山、手前右は銀閣寺山国有林
地域・地区指定:市街化地域、風致地区第2種、歴史的風土保存区域、
宅地造成規制区域用途地域:第一種低層住居専用地域
地図:古都保存法による歴史的風土保存区域と特別保存地域を示します。
<シンポジウム趣旨>
 東山の銀閣寺山の支脈が銀閣寺の北側を西に向かって伸び、白川に突き当たる突端が通称「半鐘山」と呼ばれる丘陵地です。最高地点は標高93.2mあります。鹿ケ谷通りと銀閣寺参道の分岐点の標高は74.6mですから、銀閣寺側の平地との標高差は約19mあります。北白川側の志賀越街道の標高は82mですから、標高差は10mです。因みに、銀閣寺参道北側の銀閣寺山国有林の最高部の標高は124.4mあります。したがって、如意が岳から銀閣寺山国有林を経て半鐘山まで伸びる尾根筋は、南側のかつての浄土寺村と北側の旧白川村、現在の北白川とを分ける重要な自然境界なのです。史跡としては、北側に、古くからの志賀越街道に沿った旧白川村の鎭守とも称すべき北白川天神社(文明年間[1469-87]に現在地に勧請)があり、南側は、周知のように銀閣寺の前山(かつては「西方山」と呼ばれていました、写真を参照下さい)として重要な意味をもちます。
 白川は志賀越の谷あいから出て京都扇状地に出る際に、先ず北白川の丸山を大きく迂回して、次にこの尾根筋にぶつかり、半鐘山の先端で山に沿って南に曲がり、浄土寺を経て岡崎の疎水に合流します。このように白川とこの尾根筋とは、切っても切れない重要な自然・歴史的風土を構成しています。
 景観保全の観点から言いますと、この地域は古都保存法による歴史的風土保存区域と風致地区第2種指定の里山です。昭和58年までは銀閣寺が所有する山林でした。
 この「半鐘山」が、一業者の宅地開発計画により、消滅の危機に瀕しています。
1999年3月10日、京都市会が全会派一致で、緑地保全と行政指導を求める周辺住民の請願を採択しましたが、本年3月29日、京都市は開発許可を与えました。地域住民2102名は、開発許可の取消を求めて、京都市開発審査会に審査請求中ですが、この問題は、歴史都市京都の三山の保全という、グローバルな政策に関係をもっています。
 歴史的風土保存区域(開発禁止の特別保存地区はその一部です)は、内閣総理大臣が1966年公布の略称「古都保存法」により指定した古都のための風土保存措置なのですが、都市計画的には半人前の区域で、風致地区指定により開発の抑制が図られているだけです。しかも、風致地区とは建築禁止区域ではなく、京都周囲の三山に掛けられている一番厳しい第一種風致地区でも、敷地の20%の建物を建てることができる宅地と考えたほうがよいのです。景観保全の点でこの弱点が問題として現れたものが、この半鐘山の開発問題です。このような弱点を抱える山林は、京都では他にも広く存在します。市街化が山麓にまで達し、ますます緑地が少なく遠くなる京都において、里山とそこに生きる生物や植物、そして緑地をいかに保存するかという問題に議論を敷延する予定です。ご来聴をお待ちいたします。
(文責:シンポジウム・コーディネーター 伊從勉)
お問合わせ:
連絡先:「半鐘山と北白川を守る会」 075-761-8500(岡村)
近代京都研究会
連絡先:京都大学大学院 人間・環境学研究科 伊從研究室
606-8501 京都市左京区吉田二本松町
tel: 075-753-2900 / fax: 075-753-6814