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「風土への旅-2-」田代純・空間体験 |
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<中国の黄河中流域の村や町>
この3月、西安を起点に、韓城、太原、平遙と、中国の黄河中流域の村や町を旅しました。崩れかけた煉瓦の家に住み、渇いた大地を耕す中国の農民には、忘れかけていた人間本来の生命力を感じます。が、しかし、大地の乾き様は想像以上で、灌漑農業というものの限界を見せつけられた思いです。砂漠化による生態系の変化は既に、河口周辺の海の中にまで及んでいるとのことですが(朝日新聞2001/04/19)、緑を育てる農地の開墾が逆に周辺地域の砂漠化を加速しているというのは、皮肉な話です。何処か別の所から水を引いてくるという発想ではなく、その土地その土地の保水力を高めていく以外に解決の道はない訳ですが、この自然の猛威を、はたして変えることは出来るのでしょうか。日本でも林業の荒廃が問題になっていますが、森林を育み、その森林で育った樹木を材木として使用することで、林業が人の営みとして成り立つことの大切さを改めて強く感じました。[田代純] |

西安→太原の機中から見た黄河台地。浸食され、渇いた地表が何処までも続く。降った雨が蓄積されることなく、地表を削って流れ出している様子がよく分かる。 |

集落の傍らを流れる用水路。用水路は随所に張り巡らされて、蒸散を防ぐ水路沿いの植樹なども部分的にはなされているが、流れている水は僅か。 |

平遙近郊毛家村 水を運ぶ農家の女性 |

毛家村、農家の中庭。片や壊れつつ、片や造り続けられる家。 |
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田代純氏の古今東西見聞緑  |
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