建築倫理用教材

1967号      1971号


都発大龍堂:通巻1969号 2009年8月11日

関連図書 再び健康な建築_生活空間に倫理を求めて_
『日本建築学会の技術者倫理教材』


《建築倫理用教材》


編集・発行:日本建築学会
発売:丸善
定価:[本体1400円+税] 円
26cm109p
4-8189-2211-0
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日本の建築教育の中で、従来は制度化されていなかった倫理教育をいかに現行の教育の中に組み込んでいくかが課題となっている。日本の技術者に見られる「積極的な倫理」を中心的なテーマとした、建築倫理用の教科書。

遅かりしではあるがこのようなタイトル《建築倫理用教材》で刊行されたのは非情に嬉しいかぎりである。以前においては建築教育の現場で“倫理学”の科目はあった。

巷では衣食住のブランド志向がもてはやされて、よく売れているらしい。それを着る人間、それを食べる人間、それに住む人間は本当に己を理解しているのであろうか。そういうものに囲まれて己が立派に見えると思うのだろうか。世の中、いたるところで不協和音が聞かれる。それはなぜだろう。

“倫理学”は何も難しい定義で考える必要はない。それは“人”に対する“人格”の相互理解である。また、建物・住宅の向こうには“人”ありきを忘れてはならない。我ら建築界の人間だけでも良識ある集団であってほしい。

今は亡き内井昭蔵先生は建築教育を考える時には“倫理学”をベースにしないと国際基準に立ち遅れる警告を発している。建築家や建築家予備群は住居・建築物・土木建築物の設計を考える時、“人間の尊厳”をベースにし、重層的な思考の下に“かたち”を構築すべきである。
我々は“建築倫理用教材”を紐解き“建築のあり方・こころ正しい人間のあり方”を検証、実践すべきである。建築家は人々から真の建築家と呼ばれる“黒子”でいいのである。(yy)