建築--ゆずり葉のデザイン

1591号      1596号


京都発大龍堂:通巻1593号


《建築--ゆずり葉のデザイン》

著者:徳岡昌克
発行:日刊建設工業新聞社
発売:相模書房
定価:本体2700円+税
22cm272p
4-7824-0305-4
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半世紀を超える著者の建築人生を、作品の紹介や街並みに関して語ったものやエッセイなども含めて収録する。建築や街づくり、国づくりに対する想いを、若芽に時代を譲る「ゆずり葉」の精神にこめてまとめる。
<著者・徳岡昌克 「はじめ」より>
建築の設計にあたりその土地の状態、気候、地味、人情固有の文化に私の創る建築がよりどころとする多くの示唆を得ている。
[ゆずり葉]とは新しい葉が出るのを持って古い葉が落ちるので、この名がある。
親が成長した子にあとを譲るのにたとえて、めでたい木とされる。建築も街づくりも国づくりもこうした想いを下敷きにして、新しい可能性に勇敢に挑戦していきたいものだ。
<馬場璋造(建築評論家)推薦文>-ゆずり葉に託して語る建築人生-
 徳岡昌克さんとの出会いは人より建築が先であった。1964年、当時新建築編集長を務めていた私は、村野藤吾先生が設計された関西大学専門図書館を取材に訪れた折、その少し手前で柔らかなカーブの大屋根を持った建築が車の中から目に入った。環境に馴染んだ造形のバランス感覚が素晴らしく、材料の取り扱いもみごとである。車をとめて設計者を訊ねたところ、竹中工務店の徳岡昌克さんということであった。それが「関西大学幼稚園」である。この作品は新建築1965年3月号の表紙を飾った。
 その後、竹中工務店を休職してアメリカへ渡って2年間の設計実務を経験し、復職してからの実績にも充実したものがあった。そして1983年、大阪本店設計部副部長を最後に独立した。竹中時代にコンペで獲得した「沖縄市民会館」や「稲沢市荻須記念美術館」はじめ、独立してからも「めくば−る三輪」など幾多のコンペを勝ち抜いている。その秘密は、建築を常に真撃に考え、風土とそこに住む人びとに対する深い理解と、それに基づく温かみのある建築表現にあるといえる。だから徳岡さんの建築はいずれも、それぞれの風土に根づき、人びとを元気づける。
 建築家としての矜持を保ちながら謙虚さを忘れない徳岡さんは、若芽に次代を譲る「ゆずり葉」の精神を尊ぶ。その半世紀を超える建築人生の軌跡を語った本書は、ともに建築を歩む者の共感を呼び、建築を目指す若者に建築人生の指針を示唆するに違いない。