直近・京都建築事情(3)

 
京都発大龍堂:メール マガジン通巻136号

直近・京都建築事情(3)
建築家・澤村昌彦氏の最新作です。(左京区O邸)
<設計主旨>
敷地は京都市左京区下鴨と呼ばれる閑静な住宅地に位置する。この一帯は比較的新しい住宅地であり、街区内の敷地割りも京都の旧市街よりゆとりのあるものとなっている。その中で新に3分割された敷地は間口約7m、奥行23mと南北に細長い鰻の寝床状である。家族構成は30代の夫婦と子供が2人。独立した接客空間を持つことまたプライバシーを確保しつつも家族間のコミュニケーションを促す空間が求められた。このようにディテールはことなれど町家的な手法を踏襲することとなったのは、施主及び私自身が町家育ちであり身体にその生活作法が染みついているからに他ならない。
[建築家・澤村昌彦] 澤村昌彦建築設計事務所  
構造は重量鉄骨ブレースとしコストダウンを計っている。住宅平面要素は従来の京町家のコンセプトを継承し新しい素材で京都新町家を創作している。現在、近所の子供達が集まり歓声をあげての遊び空間となつている。子供に愛される<うつわ>である。これは施主と建築家とのものの<価値感>の融合の結果であり、やはり建築家との出会いを大切にしたいものである。このような個性ある良質の住宅が建築家との出会いにより創られ京都の街並みが築かれることを祈りたい。次の澤村氏の建築に期待したいものである。詳細は各建築雑誌にリリースされた時にご覧頂きたい。(yy)