LIVING TRADITION OR PANDA'S CAGE?《生きづいている伝統 あるいは パンダの檻か?》(英語版)

1040号      1044号


京都発大龍堂:メール マガジン通巻1042号


LIVING TRADITION OR PANDA'S CAGE?
《生きづいている伝統 あるいは パンダの檻か?》(英語版)
An Analysis of the Urban Conservation in Kyoto.Case Study:
35 Yamahoko Neighbourhoods.
_京都における都市保存の分析ケーススタディ:35 山鉾町_
Doctoral Thesis,Helsink University of Technology,Finland 1999
ヘルシンキ工科大学建築学部の研究 1999年 収録版16番

著者:RIITTA  RI SALASTIE
ブックデザイン:レータ・クッタ
印刷所:グンメルス
建築歴史の博士論文-ヘルシンキ工科大学
フィンランド 1999
ISBN 951-22-4575-2

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この本は、京都とその都市性を独自の視点から分析するものです。
京都には多くの木造建築があり、至るところに伝統が息づいています。文化、芸術、歴史、都市の祝祭、これら相互の関係性は、古くから京都をとりまく景観をかたちづくっています。特に室町の呉服問屋街における住宅様式とその地域の文化様式は、共にかけがえのない存在として発展をとげてきました。夏の夜の祇園祭、老舗の呉服問屋は、代々伝わる家宝を展示します。町家町家で行われる屏風祭は、都市形成におけるひとつの大きな特徴といえます。
 
本書では、伝統的な山鉾町の生活に何が存在するのかという実態だけでなく、都市全体の流動的な変化についても着目しています。都市空間が潤いを持って、いきいきと変化していくことの重要性を認めながら、次第に問題となりつつある都市景観の破壊も取り上げています。古い町家や居住者が失われた結果、連鎖反応的に、その場所に息づいていた文化の継承も困難な状況に陥っています。伝統的な地域は、深刻な変化の時期に直面しているのです。
 
これまで京都の都市計画の方針は、新しいものをつくるためのものでした。また保存方針の許容範囲は、文化的価値を判断するには大変狭く、都市的保全の点から見れば、決して十分とは言えません。現在まで5つの町家のみが文化財に指定され、今だ4万から8万戸の木造建築が残されています。このような状況の下で、保存運動のコンセプト自身がいきづまったものとなり、問題になりつつあります。都市の保存政策が、観光地域と点在する史跡の保存に焦点をあてている間に、都市部での急速な変化には何の対策もなされず、その問題を完全に取り残すこととなりました。
 
もしも都市が、全く検討のなされないまま変化をとげた場合、京都の「雰囲気」は失われていく危険性があります。望ましい都市の変化過程は、現代的な生活と都市の記憶の狭間で、大変微妙な関係にあります。魅力のある変化が不可欠である一方、新しさを加えるには遺産をどのように扱うべきか、バランスが求められます。
 
今後、変化のプロセスは、的確な手法をもって、現実に対応しながら、再び状況を調査して分析的に行われねばなりません。京都の再生のためには、木造建築の遺産の再評価に取り組む必要があります。それは、より多面的な多次元的な尺度をもって実現できるのです。その手法は、型通りの保存や表面的な改修とは別のものです。伝統による京都、多層的な京都であり、新しさの付加による京都です。もちろんそれは、十分に検討された付加であり、京都駅やパリの芸術橋といったものではありません。そのユニークな点は、それ相応の場所に期限つきの「ランドマーク」や「博物化」されたものをつくることに限るのではなく、都市の全体性を考え、受け入れていくことなのです。
 
京都には、すでに多くの価値のあるものが存在しています。遺産のある都市に対する認識を持ちながら、地域によってどのような新しさを加え、再生していくのか。京都は順応性のあるアプローチで望むことができると私は確信しています。(小西菜月訳)
<プロフィール>
RIITTA RI SALASTIE, 1950フィンランド生まれ
Architect, Urban planner, SAFA, D.Sc.
(Helsinki University of Technology)
建築家、フィンランドの建築家学会(SAFA)会員、建築博士。
ヘルシンキ市の町並(townscape)の保存、ヘルシンキ都市計
画に関する展覧会(東京、ヘルシンキ、パリなど)、
HELSINKI URBAN GUIDE2000編集者。1984年、
1987年、1990−93年に日本伝統建築を京都大学で研究。
 
City Planning Department
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