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建築設計・施工行政マニュアル 改訂版

京都市住宅局建築指導部監修
建築行政協会京都市支部編集
建築設計・施工行政マニュアル
(京都市建築構造設計・施工に関する取扱い)

改 訂 版

発 刊 に よ せ て
「京都市建築構造設計指導要領」を発刊してから既に10数年が経過した。その間,耐震設計基準が大幅に改正され,また,建築技術の進歩そして構造計算におけるコンピューターの利用が拡大し,加えて最近では建築物の耐久性確保のための設計上,施工上の対策が盛んに要請されるようになったことから,改訂されないままになっていた上記要領の内容も現在の京都市の取扱い等とかなりかけはなれ,当初の役割が十分に達せられないものとなった。
しかし,このような取扱い等を構造設計者を始め,一般に公開することの意義は今日も変わるものではないことから,今回,新しく取扱い等をまとめ,上記要領を全面改訂し,発刊することにした。
発刊に際しては次の点に留意した。
1 建築物の構造耐力は設計だけでなく施工の良否によっても決まることから,現行の構造行政はその両面に重点を置いている。そのため,昭和62年6月1日から施工されている工事の施工計画及び施工結果の報告制度に関する取扱いも併せてまとめ,表題も「建築設計・施工行政マニュアル」とした。
2 京都市としての構造に関する統一的な取扱いのほか,日常の確認審査等において比較的重要な事項についてまとめるとともに,各々の項目についての補足説明として解説を設けた。
3 構造計画あるいは応力解析等具体的な構造計算方法については,日本建築センター及び日本建築学会の指針並びに規準やその他関連技術書が豊富にあることから,それらと重複することは極力避けることにしたが,共通的な間違いや不具合な事項については,例えば建築基準法施行令の規定等と共に取上げることとした。
なお,建築物の構造耐力の安全性については,不断の研究成果や広範囲にわたる技術書や実務家の方々の知識,経験及び工学的判断によることもあり,この取扱い等を運用するに当たっては,場合によって柔軟な対応が肝要であることは言うまでもない。
編集に当たっては,他の行政庁の取扱い等も参考としたこと,また,構造設計者を始め関係者の方々から貴重な御意見を頂いたことを記し,深く謝意を表する次第である。
昭和63年8月

昭和63年9月25日に発刊しました「建築設計・施工行政マニュアル」を今回増刷するにあたり,建設省通達の改訂,京都市建築基準法施行細則の全面改正を受け,関連する部分について改訂を行ったものである。
平成2年7月
建築行政協会京都市支部
監 修 に あ た っ て
最近の建築界における諸研究の成果,技術の進歩は目覚ましく,建築の構造についても,一昨年の丸太組構法のオープン化に続いて昨年壁式ラーメン鉄筋コンクリート造建築物の基準が告示され,更に建築基準法の一部が改正されて大断面集成材等を用いた木造建築物の基準が定められるなど,益々,多様化してきています。
一方,鉄筋コンクリート構造物において,コンクリートのかぶり厚さの不足,あるいは塩分による鉄筋の早期腐食によるコンクリートの剥落やアルカリ骨材反応によるひびわれ等の劣化現象が社会問題となったことから,昭和61年6月2日付け建設省通達「コンクリートの耐久性確保に係る措置について」によってコンクリート工事の適正化を図ることが通知され,また,「建築工事標準仕様書 JASS5 鉄筋コンクリート工事」(日本建築学会)やレディミクストコンクリートの日本工業規格が改正されるなど,建築物の品質向上,耐久確保に対する認識が高まっております。京都市においても京都市建築基準法施行細則を改正して昭和62年6月1日から「工事の施工計画及び施工結果の報告制度」を実施しておりますが,今後とも,建築物の構造耐力上の安全あるいは耐久性確保のために,適正な構造設計及び工事の施工を行うことは極めて重要になってくるものと思われます。
また,ここ数年,景気回復あるいは内需拡大策等により,建築工事の件数が上昇し続けるとともに工事規模も大きくなり,建築関係者を始め建築行政においても多忙を極めております。
このような状況の中で,この度「建築設計・施工行政マニュアル」を発刊して設計者,工事監理者及び工事施工者の方々に京都市の取扱いを公開することは,建築物の構造耐力上の安全あるいは耐久性を確保するための一助になるものと期待し,迅速で確実な,また,公平で効率的な構造行政に役立つものと確信しております。
昭和63年8月

住宅局建築指導部長
卯田隆一


   建築設計・施工行政マニュアル  

目   次

第 1 章 設   計

第 1 節  共 通 事 項
1 積載荷重 3
2 積雪量 4
3 風荷重 4
4 基礎ばり 5
5 剛床仮定のあいまいな建築物 5
6 地震力の算定における地上階 6
7 設計ルートの混用 7
8 設計ルート[1]で偏心の著しい建築物 8
9 最下階の構造階高 8
10 柱の下階抜け 8
11 隅柱等の設計 9
12 上下階が異種構造の建築物 9
13 塔状建築物 10
14 転倒及び地反力 11
15 かぶり厚さ 12
16 がけに近接する建築物 13
17 傾斜地に建つ建築物 14
18 敷地境界に近接する建築物 15
19 現場溶接継目ののど断面に対する許容応力度 16
20 高強度コンクリート 16
21 大臣認定品 16
22 増築 16
23 構造関係規定に関する既存不適格建築物における増築 17
24 構造関係規定に関する既存不適格建築物における
大規模の模様替,用途変更等 19
25 近畿建築行政連絡会議構造等審査取扱要領 20
26 確認申請書の添付図書の省略(市細則第4条) 22
27 コンピューターを利用した構造計算 22
28 構造一部変更 23
第 2 節  基 礎 構 造
1 地盤調査 24
2 ボーリング調査 24
3 地盤改良 26
4 昭和46年1月29日付け建設省告示第111号の適用 26
5 異種基礎 27
6 短い杭の許容支持力 28
7 場所打ちコンクリート杭の設計 28
8 杭の水平力に対する検討 29
9 水平方向地盤反力係数 30
10 異形杭 31
11 偏心基礎による偏心モーメントの処理 31
第 3 節  鉄 骨 造
1 鉄骨造柱脚 33
2 溶接工事作業計画書 34
3 柱,はり仕口部へのカバープレートの使用 35
4 床水平ブレース 35
5 はりの横補剛 35
6 溶接仕口を有する部材の断面検討 36
7 アンカーボルト,ベースプレートによる固定柱脚 36
第 4 節  鉄筋コンクリート造
1 設計ルート[1]の設計 37
2 設計ルート[2−2]の適用できる建築物 37
3 設計ルート[2−3]の設計 37
4 設計ルート[3]のせん断設計 38
5 柱の帯筋の間隔 39
6 はりの設計 39
7 スラブの厚さ及び配筋 40
8 高層鉄筋コンクリート造建築物 40
9 地上階における薄肉ラーメン構造 42
第 5 節  壁 式 構 造
1 階高 43
2 地階の壁厚 43
3 ラーメン構造との平面的な混用 43
第 6 節  鉄骨鉄筋コンクリート造
1 柱の曲げ耐力比 44
第 7 節  木   造
1 木造建築物の構造計算 45
2 在来軸組工法による木造建築物の構造耐力の検討方法 47
第 8 節  工  作  物
1 工作物の構造計算 51
2 擁壁の設計 51
3 補強コンクリートブロック造の塀 52
4 高架水槽架台等の設計 53
資  料
1 建築基準法第38条の規定に基づく認定申請 57
2 溶接継目ののど断面に対する許容応力度
を母材と同強度で設計する場合等のフロー図 59

第 2 章  構 造 計 算 書

構造計算書 63
資  料
構造計算書の様式 65

第 3 章  施   工

第 1 節  報 告 制 度
1 適用 99
2 対象建築物 100
3 公的試験所 100
4 工事写真 101
5 かぶり厚さ 101
6 コンクリートの強度 101
7 骨材のアルカリ骨材反応試験 105
8 レディミクストコンクリート中の塩化物量 106
9 棒鋼のガス圧接 106
10 溶接工事 107
11 鉄骨溶接部の検査 108
12 試験の回数及び試料の採取方法 109
13 報告書の提出時期 109
14 検査済証 109
第 2 節 鉄骨加工工場
1 鉄骨加工工場 110
2 鉄骨加工工場の予備審査制度 110

資  料
1 京都市建築基準法施行細則第25条に基づく各報告書の様式 115
2 同上各報告書の記入例 127
3 昭和56年6月1日付け建築省告示第1103号 136
4 昭和56年9月1日付け建築省通達住指発第220号 137
5 昭和61年6月2日付け建築省通達住指発第142号 142
6 平成元年7月17日付け建築省通達住指発第244号 145
7 建築省告示第1103号に基づく鉄骨加工工場の予備審査制度要領 146
8 構造一部変更による審査申請書 157
凡例

  法:建築基準法
  令:建築基準法施行令
 規則:建築基準法施行規則
市細則:京都市建築基準法施工細則
 記号については,上記法令,(財)日本建築センター及び(社)日本建築学会の各種文献による。


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