日本建築古典叢書 発刊の辞 日本建築古典叢書 ※印は既刊分



発刊の辞
我々は起つ。
過去建築圏より分離し、全ての建築をして真に意義あらしむる新建築圏を創造せんがために。……
 この有名な分離派建築会の宣言(大正9年1920)は、過去建築圏、すなわち様式主義の全面否定であった。第二次大戦後(1975)になってようやく本太格化した日本における近代建築運動(機能主義)の、いわば鶏鳴である。
 しかしながら、そうした建築運動の国際的な先導者ル・コルビュジエやミース・ファン・デル・ローエ等の、いわゆる”巨匠時代”が過ぎ、これを、“モダニズム”の名の下で、単なる歴史上の一事象に包括してしまう時間相の許容量の大きさを目のあたりにするとき、伝統風土に根づく文化の顕現たる様式の理解は、改めて建築家に必頑の要件になっている。換言すれば、”ポスト・モダニズム”以降における最大の今日的課題といえるのである。
 日本における伝統的な建築様式や技術を記した、いわゆる建築書の研究は、概して木割・規炬のごとき過去の一技法としての断片町な引用にとどまり、その設計理論の歴史的評価をおこなっていないのが現状である。古典としての日本の建築書を、例えば西洋におけるヴィトルヴィウスのそれのように、建築にひそむ思想や哲学の知性的内実、感性の表現様態にみる文化価値などの源泉と認識するにいたっていない。
伝統的景観の保全、それに、真に日本的な住環境の形成などが、国をあげて叫ばれながら、なおかつ、歴史的背景を無視して、いたずらに表面的な「和風」を志向した実用書のみが瀰漫する情況は、決して健全とは思えない。
「日本建築古典叢書」は、そうした日本の建築界の現状をかんがみ、純粋に古典たるべき建築書の集大成を直接の目途としている。その研究成果をあわせて本格的な紹介をおこない、もって来るべき21世紀日本建築の将来像を具体的に展望できる基礎資料とするものである。

日本学士院会員
京都大学名誉教授
小葉田淳


愛知産業大学学長
名古屋工業大学名誉教授
日本建築学会副会長
日本産業技術史学会副会長
内藤昌
日本建築古典叢書 全10巻 ※印は既刊分です
1.中世建築書 著者・渡辺勝彦
日本番匠記・三代巻・古河新兵衛覚書・斎藤仁左衛門覚書・孫七覚書など  

2.近世建築書−堂宮雛縦形1(四天王寺流)   著者・内藤 昌/河田克博
平内家諸記集・匠明五巻・今福彦兵衛伝来目録・新編宮雛形など

※3.近世建築書−堂宮縦形2(建仁寺流)
  監修:小葉田淳・内藤昌
著者:河田 克博
定価:93,450円(本体89,000円+税5%)
A4・870P
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建仁寺派家伝書・社向書・諸堂など

.4.近世建築書−屋敷雛形   著者・岡本 真理子
平内家武家記集・竹内家覚書・新編武家雛形など

※『5.近世建築書−座敷縦形』
監修:小葉田淳・内藤 昌
著者:岡本真理子
定価:50,400円(本体48,000円+税5%)
A4・775P
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畳敷様雛形・棚雛形・欄間雛形・天井雛形・建具雛形・床書院雛形・座敷向略木割など

6.近世建築書−数寄屋雛形・小道具縦形 著者・中村利則
茶湯秘抄・小座敷寸法抄・竹内家覚書(数寄屋)・建仁寺派家伝書(数寄屋)・遠州流茶具規矩之伝・寸法雑々・孫七覚書・小坪雛形など

7.近世建築書−規矩雛形 著者・麓 和善
大工雛形秘伝書図解・曲尺捷遥・匠家矩術新書・規矩真術軒廻図解など

※8近世建築書−構法雛形
監修:小葉田淳・内藤昌
著者:若山滋 麓和善
定価:93,450円(本体89,000円+税5%)
A4 870P
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匠家仕口雛形・御作事方仕口之図・御殿向作事堅書図書図解・屋根方葺様之巻など

※9.近世建築書−絵様雛形
監修:小葉田 淳・内藤 昌
著者:麓 和善
定価:96,254円(本体91,670円+税5%)
A4 870P
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作彫物図・大和絵様集・匠家必用百龍図式・左官雛形・錺屋雛形など

10.近世建築書−儀式・家相書・その他 著者・内藤 昌           
大匠手鑑・匠家必用記・蟻息・紙上蜃気・家相雑録・城の巻・上棟式など付−日本の建築書(年表・所蔵一覧)