人への心に己の心を/山岸豊



《建築と社会 2004年9月号》
特集:「建築家」とは何か
−建築家の職能と価値を考える−
建築はいつの時代でも、顧客や社会にとって重要な役割を担ってきた。環境問題・IT社会などの新しい命題をかかえる今日にあって、建築への要求が多様化・高度専門化し、建築への期待度・重要性はより高まりつつある。一方、ものづくりを担う「建築家」の定義や職能、社会的位置付けについてはいまだ曖昧な部分が多いように思われる。また、JIAによる登録建築家制度、日本建築士連合会による専攻建築士制度が立ち上げられ、登録者の情報公開などがなされているが、その職能と価値は、いまだ一般市民には見えにくい部分がある。本質的には「建築家」自身が、建築を通して如何に顧客や社会に貢献できるのか、「建築家」自身の資質や感性、建築への真撃な姿勢など、トータルな職能に対する顧客や社会からの評価が、「建築家」の価値に結びつくものではないだろうか。
本特集では、「建築家」の職能と価値、社会的責任・倫理観などを、改めて見直してみたい。また建築教育のあり方についても考えたい。
[編集委員 桜井則雄]


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